“インターネット時代のワークウェアを創る先駆者” ALL YOURS木村昌史さんに、これからの洋服の新たな価値観について聞いてみた!!!


"販売員の地位向上をし、長く働けるような仕組みづくりをしたい"をテーマに、下町で洋服屋を営む木宮商店さん(過去記事はこちら)。
その熱い想いを支え、"インターネット時代のワークウェアを創る先駆者"と呼ばれるALL YOURS 木村昌史さん。
今回は、ファッション業界に独自の仕組みづくりを展開し続ける彼に取材をお願いしました。

“ALL YOURS独自の商品開発のプロセス”
「別にうちはかっこいいものを売っているわけではない」


Q,商品を作る時には何から考えているんでしょうか?
経歴を拝見させていただくと大学時代からアパレル関係でお仕事をしていらっしゃるのですが...

ーーA, そうですね、大学時代から販売に携わってきて、消費者目線で物事を考えましょうってのが自分の根本にあって、
ボトムアップで物を作るということを大切にしています。

大体ファッション系はクリエイター主導で作っているじゃないですか。そういったファッション性やクリエイティビティーを売るのではなく、僕らは生活していく上で生理的にやだなと思うところやストレスを感じているところに対して、問題解決型で物作りをしています。

例えば、膝が白くなったり、漂白剤をかけても絶対に色落ちしない黒いパンツ。色が落ちるので買い換えなければならない。なら、色が落ちなければいいんじゃないかという発想です。
その発想を元に糸や生地を設計しています。

「GANGURO CHINO PANTS」

お客さんとは買った後がその商品との付き合いなので、買った後のストレスを取り除いていきたい。お客さんとの距離感が他のブランドに比べたら近いと感じるし、買って頂いたお客さんから出る情報が1番のテーマとなる。

買った後どう付き合っていくか、これを大切にしています。

企画のイメージとして、テーマ性を決めるのではなく、問いを立てるのが1番最初。どういうところに不便を感じるか意識的になる。

オシャレは我慢という言葉が象徴するように、かっこいい格好をしようとすると我慢が必要になる。僕たちは、別にかっこいい物を売っているわけではなく、少なくともストレスがない商品を提供している。

僕らはお客さん側に立っている。お客さんが使って、使い難い部分を改善改良していって、もっといい物をお客さんと一緒に作り上げていきたいと思っています。

“個性的な商品たちについて”
「長く着て欲しい」


Q,今までリリースした商品の中で1番インパクトのあった商品はなんですか? 

ーーA, 商品的に皆さんに評価をして頂いたのが、着たくないのに毎日着てしまうセットアップなんですけど、これがクラウドファウンディングで1800万円支援いただいた。これが1番インパクトあった商品です。

働き方が自由になってきていて、基本的に私服で仕事をしている人たち、スーツを持ってない人も東京だったら尚更多いと思うんです。そういう人たちが打ち合わせの時だけジャケットを着て行きたいというニーズと非常にマッチしていると思う。

僕たちの商品は、どちらかというとオシャレというよりも買い物にも行くのが面倒くさいみたいな人向けなんですよ。(笑)

個人的には、HIGH KICK JEANSという商品で、綿100%のリーバイスみたいな表情をしているデニムで、むちゃくちゃ伸びるんですよ。色の落ち方もビンテージのような落ち方をしていったり、セルヴィッチみたいなディテールだったり、ジーパンやファッション好きな人がいいなって思うものが楽に履ける。僕はこの商品が1番好きです。

「HIGH KICK JEANS」

Q,今までに作るのに苦労した商品はありますか?

ーーA, 今までに作った商品どれも容易ではなかったですけど、矛盾をクリアするのが大変でした。僕たちの商品、どれも響きを聞くと矛盾しているんですよ。

黒いパンツなのに色落ちしないだとか着たくないのに毎日着てしまうセットアップ。その矛盾を100%解決は出来ないですけど、高い基準である程度両立させるか、僕らみたいな開発の仕方だと毎回つきまとうので、そこの解消が1番大変ですね。

全ての商品に満足している訳ではなく、常に改善を目指しているし、その矛盾を解消し続けるというか、コンセプトを生み出してから改善の領域になるので、それってユーザーさんがいないと出来ない。履いて、着ていただいてそれに対するフィードバックがあって、もっとどうすればいいかということを新しい開発と共に一生懸命やっている。

要は長く着て欲しい。気に入った物を長く着るのが1番正しいと思うので、長く着れるような状態をどう作っていくかが僕らの課題のひとつですね。

「カラダや部屋干しまで、匂いを無くすコットンTシャツ」

“クラウドファウンディングについて”
   「どう周りを巻き込めるか」


Q,24ヶ月連続クラウドファウンディングを実行している思いやきっかけについて聞かせてください。

ーーA, 24ヶ月連続でやる前はほとんど知られてなかったんです。どうすれば知られるかなって思った時に誰もやらないことをやろうと思って始めました。

特に理由はないんですよ。(笑)

あとは、既存の流通を通そうと思った時に、e-コマースで直接販売するか卸しで販売するか、既存の問屋に収めるか、いろんな流通の仕方がありますけど、そういった方法でやると結局僕らが在庫を持たないといけないし、資金もかなり使わないといけない...

その中で、もしかするとクラウドファウンディングに集中していけば、直接販売するという販路が出来るのではないかというのが最初のきっかけです。

広告換算するとすごい額になってますよと言われるんですけど、広告のためのクラウドファウンディングというよりも本当に実売なんですよ。(笑)

僕らの商品って平置きにして写真を撮ると何の商品だか分からないんですよ。なるべく個性をうちの商品単体で主張しないように作っているので、そうすると写真とテキストではわかり難いんです。

体感命なので、着てみようかなっていうきっかけをどう増やそうかなっていうのがひとつのキーワード。そのためにも積極的にイベントを開催しています。

Q,クラウドファウンディングの成功のポイントは何かありますか?

ーーA, よく成功のポイントは何かといった相談を受ける時に、僕は「深く付き合っている友人は何人いますか?」という質問をするんです。

クラウドファウンディングってSNSに最適化されたプラットフォームなので、あのプラットフォームに載せたからといってバズったりしないですよね。

基本は、自分の知り合いにしか伝わらないのでその人たちがどのくらい自分と同じ熱量で頑張ってくれるかってのがある、なのでリターンを考えるときも〇〇さんに支援し欲しいって考えましょうとよく言っていて。

リターンの設計で〇〇さんを思い浮かべて、〇〇さんが気に入ってくれたらSNSで相応の事を書いてくれるはずなんですよ。〇〇さんが言ってくれた後ろにはその友人がいて、その人たちは〇〇さんが書いてくれた事でしか情報を受け取れないので、この〇〇さんがどれだけ言ってくれるかが大事。

そうすると、似たような人ってインターネットだと集まりやすいですよね。そういった人たちにも響く可能性があるので、どう周りを巻き込めるかだと思うんですよね。

大きくマスマーケティングで考えるのではなく、パーソナルで考える方がクラウドファウンディングには向いてそうだなって、僕の実感としてあります。

「着たくないのに、毎日着てしまうセットアップ」

“木宮商店からのメッセージアンサー”
  「販売員をやってよかった」


Q,東東京の物作りの街・蔵前で、「販売員の地位向上、新しいファッション業界を作りたい。」の思いから店を出し、「販売員=寿命の短い職種」を変えたいというアパレル店主がいますが、木村さんはアパレル業界における「販売員」という存在にどう思われますか?

ーーA, 僕も販売員でした。ライトオンという会社に12年ぐらい居たんですけど、ライトオンの1番好きなところって販売員が1番偉いという考え方。この考え方がとても好きで、なぜかというと、販売員が1次情報を1番握っているからなんですよ。

要は、お店で対峙している人が最もブランドを表現しているはず、そういった意味で会社の中で1次情報を1番握っていて、現場でもお客さんと対面していて1次情報を1番握っている人でもある。

さらに、ALL YOURSという会社の接点として1番強烈な媒介者ですよね。

今はまだ給料格差はつけていなくて、みんな横並びですけど、最終的には販売員が1番給料を貰える会社にしたい。僕らはやっぱりボトムアップなものを作っているし、どう改善すればいいかは、販売員が1番知っているはずだから。

僕は販売員をやってよかったと思っているし、そう思ってくれる人を増やしていきたいと思っている。

今って、ファッションの専門的な教育を受けていなくてもブランドが作れてしまう。そうなった時に売ったことがあるって人の方が強くなっていくと思う。売ったことがあるひちはお客さんのことが分かっているので天才じゃなくてもできますよね。

もし本当にブランドをやりたいのなら、今は販売員などアパレル向けに勉強会を個人でも開いている人が結構いて、そういうところに学びにいけばいいと思うし、僕もそういう人を育てていきたいと思っている。

うちのスタッフにも独立して欲しいと思ってます。

終わりに

今回ALL YOURS 木村さんのお話を聞かせていただいて、洋服の新たな選択や価値観を感じました。
お客さんと同じ目線に立つからこそ見えてくる課題を解決していく、これはどの分野でもこれからますます必要になっていくと思う。

販売員という存在が多くの人が憧れるような職業になって欲しいと思いました。


この記事を書いた人

SATO KAEDE

フォトグラファー


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