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眼差しは温かく、行動は熱く。人力車×劇団の"パラレルキャリア"で新しいエンタメを作る! 【東京アフロ 綱田琢さん】

浅草って、どんなイメージですか?下町?雷門?外国人の集まる観光地?――――でも、それだけではないのです。多くの老舗が伝統を伝える一方、新しい挑戦者も集う。古さと新しさが繋がる街、それが浅草です。

特に、浅草には多くの文化人を輩出した歴史があります。今もなおこの地に育まれ、経済、カルチャーなど新ジャンルで活躍する人は少なくありません。そんな「浅草人」の魅力にスポットを当てていきます。

綱田 琢(つなだ たく)さんは、保育士から人力車夫になり、自身の人力車会社「壱」を設立。その後、演劇の世界に突入した多彩な経歴の持ち主。

プロデューサーを務める劇団「東京アフロ」では「爆走セレナーデ」「Sunset Moon」にて俳優も兼任しており、人力車夫と二足の草鞋を履いています。

COREZO!ASAKUSAのCM撮影では人力車夫として大雨の中全力で走ってくださる怪演(?)っぷりを披露してくださいました。(役者魂感じたぜ...byタカハシ)

そんな彼の今までの歩みと、浅草に対する想いに迫りました。

■「表現力は強さであり、人生を華やかにするもの」タイでの"とある事件"をきっかけ(?!)に人力車夫の道へ。

ーそもそも、人力車夫を始めたきっかけは何ですか?
僕、昔バックパッカーをしていたんです。その時、日本人同士がつるんでいる光景を目の当たりにして。自国愛が強いのか、とにかく海外の人へ表現することを嫌うんです。しかも、欧米人が壁を取っ払って全力で楽しんでいるのに対して「モラルがない」と言ったりする。それを見て疑問に思ったんですが、きっと「できない」からなんですよ。自分達が小・中学校の頃、人と違う表現をすると怒られた経験から「間違っている」行動と認識しちゃうんです。でも、僕は表現する力がもっとつけばそれはその人の強さになるし、人生を華やかにする材料になると思っています。それが一つのきっかけですかね。

ある時、タイで拉致されまして(笑)船に乗せられて、荷物を全部奪われました。パスポートだけ隠していたので、どうにか日本大使館に帰ってこれたのですが...。色々失ったけれど大切なものが理解できたかも知れませんね(笑)

(タカハシの心の声:ら ち だ と...?!?!この人...や、ヤベェ...!!!白目)

その後、たまたま人力車夫の仕事に出会いました。人力車夫は自分1人でお客様と向き合ってサービス、いわゆる「PR」をする必要があるんです。表現を勉強すればするほどトーク力が磨かれる。それがお客様を得ることの自信にもなるし、自信がつけばもっと頑張ろうと思える。シンプルで、人間力も磨かれる仕事だと感じ、本格的に人力車夫を始めました。

■「1人1人の特性に合った社会を作りたい」。人力車会社「壱」が柔軟な社会作りの一助になれば。

―その後、人力車会社「壱」を立ち上げた綱田さん。きっかけは何だったのでしょうか。
僕は保育園で働いていたことがあったんですけど、そこで「社会作り」に興味を持ったからです。

(タカハシの心の声:こんなイケメン保育士さんいます...?!ず、ずるい)

保育園では「0才から5才までの期間で大抵のことができるようにならないと、後々苦労する」という考え方のもと、教育を詰め込むんですが、それって子どもにとってつらいこともあると思うんです。短所は見方によっては長所になりますし、「これができないからダメ」と一刀両断する社会は怖いですよね。なので、1人1人に合った特性を活かせるような社会ができればという想いがありました。

その傍、人力車夫を10年ほど続けるうちに面白い仲間が集まりました。人力車夫って変わり者が多いんですよ。営業には長けているけれど大事なものが欠けている人、体力はあるけれど仕事が全然来ない人、仕事中は元気がないけれど、飲み会の時はやたら溌剌としている人とか(笑)。人が問われるだけに、個々人の特性がより顕著に見える場所なんです。そんな人達が集まって仕事をするのも柔軟な社会を作っていくことの一助になると思ったので、2014年9月に人力車会社「壱」を立ち上げました。
そこで働いてくる人達から「仕事に来るのが楽しい」「最高の会社だな、仲間っていいな」という言葉をもらったり、仕事後もみんなで喋っていたりとか。他社からも「人力車会社の中でも「壱」は仲が良くていいよね」と言われたりするので、良かったと思います。

■足を運び、目と目を合わせて話したからこそできる「繋がり」を大切にしていきたい。

ー人力車夫を通して浅草界隈の方々との繋がりはできましたか。
はい、浅草のカフェ「ほしや」さんは仲良しですね。出会いのきっかけは、ほしやさんのオープン記念パーティー。立ち寄った壱のメンバーから「面白い人達がいましたよ」と報告があったんです。それで翌日僕も訪れて、「僕らは人力車のお客さんを連れてくるので、その代わり待合室として使わせてください」という話をして意気投合しました。
ほしやの方々は、濁っていない子どもの様な目の輝きでこちらのアイディアに「面白いからやろうよ!」って乗っかってくれる感覚がいいですね。

(編集長:わかりみが強い。今日もパーティーの翌日なのにインタビューのために開店前から使わせてくれるし、なんならまだパーティーしてるしwww)

足を運び交流して「何かやりましょう」という会話から始まる繋がりを大切にしたいです。

■未経験ながら、劇団「東京アフロ」プロデューサー兼役者の道へ。「本気の役者が本気の芝居をして本気を伝える」その熱量とは。

—そんな中、劇団「東京アフロ」を立ち上げた綱田さん。きっかけを教えてください。
人力車夫はお客様を2人乗せて1人で話をする「1対2」の楽しませ方でしたが、「もっと入り口を広げたエンターテインメントはないかな」と思い、演技は未経験でしたが舞台のオーディションを受けたんです。
その時出会った演出家・KS LABO(ケイエスラボ)さんから「そのままの自分で、どうやって舞台にいれるか訓練をしていく作業をした方が面白い」と言われて。「こういう見方をしろ」「こういう動き方をしろ」と指示されたらきっと挑戦していなかったと思います。
もう1人、僕の1年前にやってきた座長の砂月 夏輝(さつき なつき)君もそのタイミングで紹介してもらいました。僕が「仲間を引き連れて浅草で何かをしたい」という話をしていたら、KS LABOさんから「僕もいい歳だから約30年間の集大成をぶつける場をつくりたい」と。それが、東京アフロ立ち上げのきっかけです。

―「東京アフロ」の拠点を浅草中心地から少し離れた南千住近くに構えた理由は何ですか?
目的がなければ誰も来ない場所に人を連れて行きたかったからです。場所は関係なく良いものは良い。ここで人を集められればどこに行っても通用すると思ったんです。加えて、劇団のコンセプトである「本気の役者が本気の芝居をして本気を伝える」という熱量を伝えるのにあえて「場所が良かったから」とは言われない大変な場所を選びましたね。
「エンターテインメントである人力車と演劇を融合させたい」という想いから東京アフロでは人力車送迎付きチケットを発売しているのですが、ある程度浅草から遠くてもそれを逆手にとってPRできますし、「演劇」を行きと帰りの「人力車送迎」で挟めば帰りの間にも余韻を味わってもらえるかなと。

ー実際に人力車送迎を始めて、反響はありますか。
舞台や人力車のことを聞かれたりします。何より、お客様から「ありがとうございました」という言葉をいただいく瞬間が嬉しいですね。演劇と人力車の客層は全然違いますが、人力車のお客さんがそのまま舞台を観に来てくれたり、演劇を観に来てくれるお客さんがほとんど乗ったことのない人力車に乗ってくれたり。
異なる客層が混じり合ってグルーブが生まれていくのも面白いです。

―そうは言っても「人が来なかったらどうしよう」という不安はなかったですか。
おそらくそういう性格だったら挑戦していないと思います。「こうしたら面白いじゃん!」と捉えてあまり躊躇せずやってきたので。

―そんな東京アフロで表現していきたいことはありますか。
浅草という場所柄、人情や人と人との繋がりは大事にしています。
SNSで見えない人と繋がることはできますが、反面実際に会って話す機会は減っている気がして。保育園の先生時代も「目を見て話すと気持ちが伝わる」と子ども達に伝えていました。
わざわざ見に来てくださった方達が、「90分作り物を見ている」というより、「1つの人生を見ている」感覚だったり、忘れていた温かいものを思い出せる場所になったら良いなと思います。

―8月の公演「バクソーセレナーデ」を観ていても人との絆や温かさを感じました。同公演で意識していたことはありますか?
バクソーセレナーデに関わらず、KS LABOさんの作品はどこを切り取っても役者の人生や人間味が見えるような作りになっているんです。たとえ少しだけしか出番がない役者であっても。
KS LABOさんからは「1回出て来たらもう1度観たいと思われるようなキャラでいなさい」とよく言われます。全員が「いつ出てくるかな」と思われる役でいたら1回見て「面白かった」で完結するのではなく、観る度に見方が違う作品になると思うので、まだまだ今後の課題ではありますが意識していきたいです。

▲当日はお酒の販売も...!!!(飲みライターとしては、ちゃっかり飲みましたありがとうございました。)

▲劇場内には物販も。ファン唾涎のブロマイドなどたまらないラインナップばかり。ふつかよいのタカハシ改め美女好きのタカハシ、よだれが止まらないぜ...!!!

▲当日の舞台セット。小舞台ながら熱気が立ち込めていた。

▲当日の綱田さん。く、くろっ!!!!!(※役柄です)

ーそんな綱田さんが今後挑戦していきたいことはありますか。
例えば、台東区で人力車夫の運動会をやりたいです。子どもに夢を与えられそうだし面白そうじゃないですか?
一番の目標は自分で保育園をつくり、人間力と物を知る力を養うことです。
「今ある中でどう稼ぐか」を考えるのは大手さんがやってくれるので、「今ないものをどうやって作れるか」。
「これがあったらめっちゃ楽しいじゃん!」というものを見つけて形にしたいですね。
もちろん自分達だけではできないので、面白い人達と繋がりたいです。やりたいことって出会う人によって変わる気がしていて。
僕がKS LABOさんに感銘を受けているのは「みんなが主役なところ」なのですが、壱もそうありたいです。誰が上で下でとか関係なく、シンプルに「この人いいじゃん!」という感覚だけを持っていたい。その時生まれた新鮮な感情をそのままに「それやりましょう!」という勢いで動ける自分でありたいですね。

ーありがとうございました!

【編集後記】
柔らかい物腰と温かい笑顔ながら行動はパワフルな綱田さん。
思わず「綱田さんをそこまで動かす原動力は何ですか」と尋ねると、少し考えて「仲間」と答えてくれました。
「仲間や関わってくれた人のことを話そうとすると泣いてしまいそうになります。仲間がいて生かされている。ひとりだと絶対にやらないことがやれているなと思います。動けばステキな仲間が増えることを実感しているので、そういう意味では今までの体験も原動力かも」という綱田さんの目は本当にキラキラしており、これからどんな面白いことが生まれるのか、私まで胸が高鳴りました。
<東京アフロ information>

住所:〒111-0024 東京都台東区今戸2-39-2オークハウスB1 「スタジオ365」

Mail:tokyoafro3@gmail.com

URL:https://www.tokyo-afro.com/

※2019年1月22日〜28日までビートたけし氏が名誉顧問に就任した第1回「江戸まちたいとう芸楽祭」に出演決定。会場は浅草 木馬亭とのこと。詳細は東京アフロ公式Twitterにてチェック!


この記事を書いた人

ふつかよいの タカハシです。

ふつかよいのタカハシです。三度の飯より酒を愛しています。
イッセイミヤケの販売員を経てアパレルメーカーの営業職に転職、その後フリーライターに。
COREZO!ASAKUSAを通し、ディープな浅草の魅力を発信していければと思います。


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